2013年5月7日火曜日

ユーチヌサチ


若狭公民館のそばには、その昔、美しい岬がありました。いわゆる、ユーチヌサチと呼ばれる場所です。漢字では「雪の崎」と書きます。ね、なんか美しいでしょう? 中国の冊封使の記録では「雪崎山(せっきざん)」と呼ばれていました。

現在の若狭の海沿いに広がっていたユーチヌサチは、高さが二十メートルもあり、先端が方言で「ユーチ」と呼ばれる小型の斧に似ていたので、そのように呼ばれていました。漢字の「雪」は当て字のようですね。その付近一帯を「上の毛(うぃーぬもー)」と呼び、昔から拝所(うたき)などがあって信仰の対象であり、景色も壮大だったようです。しかしながら、1951年の区画整理でダイナマイト爆破され、泊港南岸地域の埋め立てに使用されてしまいました。現在残っていれば、貴重な観光資源であり、非常に残念なことです。岬は現在では跡形もなくなっており、かろうじて拝所と周辺の岩だけが残っています。しかし拝所も中の石碑が壊れてしまっていました。海に近いので、コンクリートは早く痛んでしまうのでしょう。




拝所のうしろには若狭小学校が現在では建設されて、子どもたちの明るい声が響き渡っており、それが多少なりとも救いになっているような気がしました。海沿いの公園の中にひっそりとたたずむ拝所にも、ぜひ一度は足を運んでみて下さい。(小)