能登被災地支援報告会の会場となる那覇小学校前には能登に実際に支援に行った「まいまい号 通称:動く小さなおうち」を駐車して、自由に見学できるようにしました。
信号待ちの車や通りすがりの小学生、仕事帰りの方などが覗いてみたり、中に入ったりしていました。
会場には能登半島地震への応援メッセージを展示して自由にかけるスペースを設けました。
《プログラム》
【第一部】能登半島被災地支援活動報告
能登被災地支援報告1 嘉手納一彦「災害支援活動から考える本県の大規模災害想定について」
那覇市保健所 歯科医師 嘉手納一彦さん |
2011年3月11日の東日本大震災で数多くの救護や医療活動、支援活動を行った「石巻圏合同救護チーム」のネットワークが国内外で活動していくために設立されたのが、「災害医療ACT研究所」です。(HPはこちら)
そのチームの1員として、能登へと1月末から2月の始めまでの1回目、5月中旬から終わりまでの2回目、室内設置型簡易トイレ(ラップポン)の設置や使用状況調査、消耗品の追加、簡易トイレを使用していない場合の撤去を1回目の活動では行ったそうです。
能登のほうでは、バキュームカー不足で、始めに設置されていた仮設(屋外)トイレが数日で使用不可となり、仮設トイレはあるものの、「使用不可」の張り紙がされているのを現地で目撃したとのことでした。
さらに、屋外設置トイレは寒い時期に段差のあるトイレが多いため、夜間の利用が困難な上、段差があるトイレは高齢者には利用するには難しく、水分摂取を控えたり、歯磨きをしなかったりと災害関連死やエコノミークラス症候群、誤嚥性肺炎の発症リスクがあがるなどのお話をしてくれました。
実際に行った経験として、地震の影響で海岸が隆起しており、いままで海だった場所が日にさらされた影響で腐敗臭のような臭いがあったと伝えてくれました。
能登被災地支援の経験から沖縄での防災・減災についてをまとめています。
・大きな地震や津波の影響で許田道の駅と潟原干潟が分断されるとそこから北への支援が奥能登のような形でかなり遅れる可能性がある。
・空港や港、道路は地形が隆起・液状化した影響で使用できるかどうかが不透明。物資などが届かない可能性がある。県外からの物資受け入れや被災者の県外輸送が困難になる可能性がある。
・県内でブラックアウトが生じる。
・津波警報が解除されるまで県外からの支援は入れない。
・県や市町村は職員は4割程度しか出勤できない。
・1〜2週間は島内で全て(自助・共助・公助)を完結する必要が生じる。
・支援者が連絡なしに県内入りするため、受援体制を設備する必要がある。
そして、行政職員として、災害時に起こりうることに対しての覚悟と準備を!とのメッセージがありました。
・突然、被災者(対象喪失者)になる
・突然、職種の論理的使命がのりかかる
・突然、経験のない業務が降りかかる
・突然、見知らぬ外部支援者が押し寄せる
・助けられない現場を目の当たりにする
・長丁場となる
・体は疲れ、心が傷つく
能登被災地支援報告2 有村博勝「受援力・・・沖縄は大丈夫?」
有村博勝 通称:「あ〜り〜」 |
約1年間の間に合計5回、約8ヶ月半の期間を能登町内の小規模自主避難所を主に支援してきた有村さん。
発災後すぐの1月9日には能登半島へ向かい、沖縄そばの炊き出しや湧き水をくんで風呂などを設置したりと活動内容をお話してくれました。
地域のまつりが被災者への希望となると「あかりのおと」という音楽祭を企画し、10月開催を準備中に9月末の奥能登豪雨の被害の影響を受け来年2025年4月に延期した経緯の説明がありました。
「受援力」という言葉をテーマに沖縄が災害時に起こりうる可能性を災害フェーズのタイムラインを踏まえながら話がありました。
受援力 被災者:みんなも困っているから自分は大丈夫と高齢者ほど助けてと言えない環境があり、それが孤独死/災害関連死に繋がっている。
受援力 行政:「国/他県」の救援は滞りなく入るが「ボランティアセンター」の立ち上げが遅れることで、地域への支援が行きゆかない現状。日頃からの行政と地域を繋げる「中間支援団体」との関係性が乏しい自治体では公民館のような小さな避難所や地域への支援は届かない。
沖縄県国頭村での大雨被害での救援などの事例もふまえながら今後の大規模災害時の行政、中間支援団体、地域の日頃からの関係作りの大切さや公助も被災して、対応を行政だけでは限界だろうとの言及もありました。
災害時を自分ごととしてとらえてもらい、地域防災リーダーを育てることの重要さをお話してくれました。
【第二部】パネルディスカッション
・大規模災害発生時に沖縄で起こり得ること、日頃の備え
・那覇市の取り組みについて(那覇市防災危機管理課職員参加)
第二部からはモデレーターに地域づくりや防災・減災の中間支援ネットワーク構築などに取り組んでおり、石川県輪島市ボランティアセンター運営支援へ二度派遣した宮道喜一さんと那覇市の災害時対応について説明を那覇市防災危機管理課の源河北斗さんを交えて、石川県能登での被害から想定される沖縄での被害予想、2024年4月3日の津波警報の避難指示の実態(その時の若狭公民館の様子はこちら)、対応と見えてくる課題について深堀りしました。
宮道喜一さん |
那覇市防災危機管理課 源河北斗さん |
・那覇市として公助は弱い、支援が届くかわからないという危機感は市民にも共有の認識をもってほしい。
・そのために自助や互助・共助を参加しやすい住民参加型の防災訓練や防災講座を実施し、平時からの防災を意識するように活動している。
源河さんが出演している動画がアップされています。(こちら)
若狭公民館でも11月5日の令和6年度 那覇市総合防災訓練のレポートを報告しています。(こちらから)
その他、有村さんが能登半島で見てきた言い争いが起こり、分散した避難所での話、陸前高田市でみてきた二人の女性リーダーによる避難所運営の話など、今後沖縄で大規模災害時の避難所運営で起こりうる実例を話してくれました。
地域での自助・共助を行うために新たに自主防災組織設立や地縁の地域団体(エイサーや旗頭)などが災害時のリーダーになりえると思うような話がありました。
嘉手納さんからは「HUG(避難所運営ゲーム)」の活用で避難所運営の取り組みを擬似体験できるので、ゲーム感覚で学ぼうなどアイデアを共有してくれました。
ご参加された皆様ありがとうございました!
主催:那覇市若狭公民館
協力:那覇市防災危機管理課/(一社)災害プラットフォームおきなわ/ちむどんどん天妃/team AMMA