2020年7月16日木曜日

報告:「子どもの性同一性障害と向き合うために」

去った7月12日(日)に家庭教育学級として開催しました。
(感染症対策として、1人1テーブル・マスク・手指消毒・検温・換気などもしっかりしながら!快くご協力いただき、ありがとうございました!)

まずは館長あいさつから

少し長くなりますが、お付き合いください…。


早速ですが、皆さんは「LGBT」という言葉をご存知でしょうか?
ざっくりと説明すると、、、
『「LGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル)」は恋愛対象がどの性に向くのか(性的指向)を指し、
「T(トランスジェンダー)」は生まれた時の性と性別に関する自己意識(性自認)が一致しない状態を指す』そうです。
認知度が上がってきている言葉なので、聞いたことがあるかもしれません。

では、「GID」という言葉はいかがでしょうか?
こちらは「性同一性障害」の意味で、広い意味で「トランスジェンダー(T)」に含まれるそうです。
今回はその「性同一性障害(GID)」に焦点をあてて講座を開催しました。


新聞記事からみるGIDの現状など

「性同一性障害(GID)」の当事者は、特に”中学生の時期”と”大人・社会人の時期”に大きな問題を抱えることが多く、学校や職場の理解が重要になるとのこと。
そこで、講座では「教育現場」と「就労問題」の視点からお話をしていただきました。


講師の砂川さん


お話では、厚生労働省や文部科学省などが実施した調査に加え、
講師ご自身の体験や支援団体での活動を通して寄せられた、相談事例などを紹介していただきました。
(当事者の状況を少しでも知ってもらうために、大まかではありますが、紹介させいいただきます)

GIDの方は高額な医療費(保険適応外)を必要とする場合が多く、経済的に厳しい状況になってしまうそうです。
また、子ども時代に辛い経験をしている方が多く、就職においても不平等な扱いをされることが多いそうです。
そのため、十分な収入を得られず、経済的な厳しさが増すという悪循環になってしまう…
(過去のリーマンショックや昨今のコロナ不況の影響ももろに受けているそうです…)

例え就職したとしても、職場でパワハラなどを受けたり、GIDであることで苦痛を与えられるような扱いを受けたり…

さらに、当事者の中には、親からの理解を得られなかったり、親が悲しむことを考えてカミングアウトできなかったりと、孤独の中で思い悩む方も多くいらっしゃるとのこと…

事例紹介では辛いお話が続きました。


一方で、「性同一性障害(GID)」に関する調査では、
職場等の環境作りで「配慮している」と回答しているところもあるのだそうです。

しかし、実は意味をなしていないこともあるのだそう…。

例えば、誰でも使用できるように設計されている多目的トイレ。
そこにレインボーマーク(「LGBT」等への配慮のマーク)を表示して、
「配慮している」としていても、逆に、『ここを利用する人は「LGBT当事者」である』と暗に周りに知らせることになったり…
(今回の講座開催についても、もっと配慮する部分が必要だったなと反省する点がいくつか…)

本当の意味で当事者の気持ちに寄り添うには、もっと深く考えた配慮が必要だと思いました。

当事者の現状を丁寧にお話しいただきました

しかし、今回の講座では、嬉しい感想もいただきました。
参加者の中には「当事者の辛さを少しでも理解し、寄り添いたい」との思いをお持ちの方が多く、
「まずは自分の周りからやっていこうと思う」
「親と学校での理解が大きいと思うので、小中学校での教育の場を作る活動を期待しています」
などのお声をいただきました。


「性同一性障害(GID)」に焦点を当てた今回の講座では、
家族や友人関係、学校、職場など、あらゆる場面で辛い状況を抱えている当事者の現状を少しでも理解するための時間となりました。

講師の砂川さんからも
「色々な客観的な数値に加え、当事者や家族の相談事例を知ることによって、今後の道筋が見えてくると思います。
当事者でも頑張って、学校の先生として活躍している人もいる。リハビリ職として働いている人もいると。」
とおっしゃっていたように、
” 知る ”ことが、他者に寄り添うことにつながり、さまざまな人が自分らしく、生きやすい社会を築くことになると、改めて感じた講座となりました。


講座開催にご協力いただいた、講師の砂川さん、ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。