12月10日(土)に若狭公民館3階ホールで「演劇を使った避難所コミュニケーションワークショップ」を開催しました。
演劇×防災を掛け合わせた即興演劇を通して、災害時に医療的ケア児が避難所にきたことを想定してみる今回のワークショップ。
【医療的ケア児・者とは?】
心身の機能に障害があり、呼吸や栄養摂取、排泄などの際に、
医療機器やケアを必要とする方たちです。重症心身障害児・者に多くみられますが、
肢体不自由や知的障害を伴わない方、例えば医療的ケアがあっても走ることができる方もいます。
人工呼吸器や胃ろう等の医療的ケアを日常的に必要とする多くの「医療的ケア児・者」が
在宅で生活しており、日常生活の中で支援を必要としています。
医療的ケア児という存在を知ることと災害時に避難所に誰もが体験する可能性がある事例を想定したロールプレイングすることにより、医療的ケア児に対する理解と避難所での想定外の出来事に対応する機会を目的としています。
まず初めは皆さんと一緒にジャンケンゲームをして緊張をほぐしていきます。
こちらで初めましての子どもたちも大人も一度に仲良くなることができました。
じゃんけんだと子どもも大人も盛り上がることができますね。
その後、大人グループと子どもグループに別れて、それぞれでワークショップを行いました。
大人たちはさまざまな事例を教えてもらい、その上でどのような演劇ができるのかを話し合ってもらい演劇。
子どもたちはジェスチャーゲームを行いそれぞれで発表してもらいました。
演劇の前にまず医療的ケア児とは?について名桜大学の松下聖子教授が参加者と共有してくれました。
そのころ、舞台へと移動した子どもたちは自由にジェスチャーでお互いの演じたものや出来事、人を当て合いっこしていました。子どもたちの発想は自由で大人では当てるのも難しい。
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何にしようかなー? |
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自由に踊りながら後でなにを演じているかを決める子もいました
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2グループに分かれた大人たちはそれぞれの事例を確認しながら、どのような状況なのかを整理したり、役割を話あったりしました。
文章だけでは、わからない専門用語や子どもの状態などは名桜大学の松下聖子教授に聞いたりして理解を深めていきます。
約30分後にはそれぞれのグループでの発表がありました。
まずは子どもたちから!
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わかるかな〜?
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個性がでてて可愛らしい! |
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なかなか正解しなくて、ジェスチャーゲームは大盛り上がりでした。 |
子どもたちが頑張ってくれた後にいよいよ大人たちの演劇です。
チーム1の事例:
たかし君、男児、5 歳は肝臓病のため多くの機械を付けています。人工呼吸器、酸素、酸素 飽和度計、心拍モニター、持続吸引、カンガルーポンプによる胃瘻注入で、多くの電源を必 要とします。多くの機器があるため、やっとのことで避難してきました。避難所には、子ど も達もたくさんいました。子どもたちは、ゲームやネットで遊んでいます。避難所には、避 難者が使用できる電源に限りがあります。孝君には多くの電源が必要です。そのために避難 をしてきました。ところが、子ども達が電源を使っていて、孝君が使える電源がありません。 お母さんが、電源を貸してほしいと訴えていますが、なかなか聞き入れてもらえません。早 くしないとバッテリーが切れてしまします。
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演劇の様子 |
演技が終わった後は参加から感想を聞いたり、この状況なら他にどんなことができただろうと話し合います。名桜大学の松下聖子教授よりアドバイスなどもいただきました。
チーム2の事例:
たっくん、男児、11 か月は、脳性麻痺です。やっと首も座り、寝返りを始めたころです。 吸入と吸引を時々行っています。避難所では、床に寝かすことができないので、机をベット 代わりして寝かしていました。母親は、まだ若く、初めての子で育児になれていません。避 難所は、知らない人ばかりで母親は戶惑い、今にも泣きだしそうです。いつも、心配そうに たっくんを見ていましたが、疲れが出て、ついうとうとしてしまいました。その時、ドスン! という音とともに、大きな声でたっくんは泣きだしました。お母さんは、びっくりしてたっくんを抱き上げました。幸い、下にクッションになる物があったので、大事には至りません でしたが、母親はショックを隠し切れずうろたえ、自分を責めています。
チーム2動画はこちらから
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急遽赤ちゃん役を演じてくれた参加者 |
最後に総括として、松下聖子教授よりコメントをいただきました。
普段は医療の設備が整った避難施設へ行く医療的ケア児なのですが、本当にすごい災害がやってきた時は、設備などが整っていない場所への避難する可能性も考えられる。医療的ケア児のことを周囲に理解してもらい助けてもらう共助。医療的ケア児とはなにか?どこまでできてどこを支援してほしいかをキチンと伝える受援力(自助)も必要になるだろう。
参加者より、「災害時の想定や避難所での対応について話し合う機会は今までにあったが、演劇をすることにより、実際の空気感を感じることができた。次に同じような経験をしたら一人で判断しないようにしたい」や「援助する側も援助してほしい側もコミュニケーション能力が必要だということがわかった。今回は断られたシーンも時間帯を決めてもらったり、避難所のまとめ役に相談するなどのやり方があったかもしれない」などの意見も共有されました。
実際に演技をして、擬似体験することによりより一層の理解が深まりました。
ご参加していただいた参加者の皆様ありがとうございました。
報告動画はこちらから↓
主催:公益社団法人 日本劇団協議会
実施団体:株式会社TEAM SPOT JUMBLE
協力:公立大学法人 名桜大学・那覇市若狭公民館