2014年10月9日木曜日

『私と仕事のいい関係vol.2』第1回目報告

今週の月曜日、『私と仕事のいい関係vol.2』が始まりました。


昨年度も同タイトルの講座を開催し、ご好評を頂いたため第2弾として開催しました。
前回から感じていたのは、多くの方が「働く」ということに対して真剣に向き合っているなということ。金銭的に困っているわけでなくても、このままでいいのかな…と考えたり、長く続けている仕事に対してもよりよく関わりたいと思ったり、今の仕事を続けようか辞めようかと悩むことは、自分の心の声を聞いているからこそ抱く悩みだと思います。そんな気持ちを持てること自体が素晴らしいなと感じました。


第1回目は、横浜市立大学で講師をされている柳下 換さんと、首里石嶺で「うえのいだ菜園」をしている玉城 真さんのお二人をお招きして、『働くのは何のため?』というテーマについてお話して頂きました。

講座の最初では、玉城さんの自己紹介から。
今やっている「うえのいだ菜園」や「畑のアトリエ」のことや、それらをやるきっかけなどをお話頂きました。玉城さん、この畑以外にも美術の講師、大工さん、造園のお手伝いなどもされているとのこと。畑に来られる日は限られるそうですが、それでも続けていることに驚きます。


畑をやることになったきっかけは、「家庭が崩壊したところから始まった。」という穏やかならぬ切り出し方でしたが、家のことと仕事というものが密接しているところが興味深かったです。
そして、真さんのお話から強く感じたことは「そこにあるものを活かしたい」という想いでした。菜園の他に古民家のリノベーションをしていることからも、そんな想いが伺えました。

二人の対談では、柳下さんから玉城さんへ「野菜を作ることや美術を教えることのおもしろさは?」「今やっていることを通して、働くとはどんなことと捉える?」などの問いかけがありました。問いかけに対して、一つ一つを自分の言葉で丁寧に答える姿勢が印象的でした。



後半は一つの問題を全員で考えてみました。それは
「ある若者がせっかく苦労して就職したのに辞めるという。再就職するのは相当に難しく、一時的に身を寄せる実家などもない。あなたならどのように話をしますか?」
皆さんもせっかくなので考えてみて下さい。

それぞれ、紙に書いて提出したのですが、皆さんのを読んで柳下さん「関東の学生たちとは全然違う。」とおっしゃっていました。今回の会場での意見で圧倒的に多かったのが、「まずは話を聞く。」でした。現役の学生と今回の受講生とは年代も違うということもあると思いますが、向こうの学生に聞くとほとんどが「やめるなと言う。」のだそうです。柳下さんは「沖縄の人々は、働くこと・生きることをお金を稼ぐ手段としてだけで捉えていなからでは。」と話していました。


最後はちょっと大学の授業のようなコーナーで、マルクスの資本論をわかりやすく解説してくださいました。「働く意味の話からなぜ資本論?」と意外に思ったのですが、今の社会の仕組みを知った上で自分自身の働き方・生き方を考えることが重要、ということで納得しました。



いろいろなことを学べた2時間でしたが、この日私が一番印象に残った言葉を紹介します。
「命と仕事は天秤にかけちゃダメだと思う。」
精神を患ってまで仕事を続けるとか、体を壊すまで仕事をするのは、本末転倒。まずは生きることを優先させる、という至極全うな言葉にはっとさせられました。当然のようで、それができないくらい追い込まれている人もいるということに怖くもなりました。

今回の講座は導入。全3回の中で、皆さんにとって何か気づきやヒントになるものが一つでもあればいいな、と思っています。



講座の翌日、琉球新報に大きく玉城さんの記事が!




講座の様子は、下の動画でご覧になれます。