トヨタ財団の助成を受けて制作されたドキュメンタリー映画『In Between-In Search of Native Language Spaces-はざま - 母語のための場をさがして-』の鑑賞とクロストークを通じて、外国にルーツのある子どもの母語教育について考える貴重な機会となりました。
第一部は映画上映
https://dept.sophia.ac.jp/is/iac/news/docs/news20240823_585145927.html
映画については上記サイト参照
第二部はクロストーク
映画を観たあと、母語や日本語教育に携わる関係者によるクロストークを行いました。
映画を制作した田中雅子教授(上智大学)は、母語を学ぶことが子どものアイデンティティ形成にどれほど重要かを強調し、地域によって母語教育の支援の差が大きいことを指摘しました。
母語を話せない子どもたちが増加する現状は、将来的に日本で暮らすことができなくなる外国人が増える原因となり得る可能性や、在留資格が不安定な子どもたちにとって、未来を描けない不安は大きな課題であることを教えてくださいました。
村上呂里教授(琉球大学)は、ベトナム人コミュニティーでの支援活動に触れ、日本の小学校での生活に課題のある児童と共にベトナム文化を学ぶ授業を実施した経験を報告。対象となるベトナム人児童が自分の文化を友達に紹介できることで安心感を得たというエピソードを紹介しました。このような授業を通じて、異文化理解を深め、子どもたちの自己肯定感を育む重要性が改めて認識されました。
また、オジャ ラックスマン氏は、沖縄のネパール人コミュニティーでも同様に、ネパール語を話せない子どもたちが増えている現状があり、特にネパールに帰った後の母国がわからないためにおこる課題についてふれ、母語教育の場の創出が地域全体で考えなければならない問題であると述べました。
それぞれが地域コミュニティーが母語の大切さや理解の必要性を強調しました。
参加者からは・親の在留資格によって子どもが将来像を描けないのは非常に残念です。
・母語が思考のベースになるという言葉が印象に残りました。
会の終わりには、若狭公民館で活動するネパールの子どもたちのダンスクラスのお披露目もありました。活動を行なっているネパール人のアムリタさんも、子どもたちのネパール語教育に苦労しているお話をされていました。
今回のイベントは、外国にルーツのある子どもたちが母語を学び、文化を継承するために必要な支援の重要性を再確認し、地域社会としてどのようにサポートできるかを考える良いきっかけとなりました。(sato)