2025年5月26日月曜日

多文化共生で命を支え合う

皆さんは「世界献血者デー」をご存じですか?

世界保健機関(WHO)が定めたこの日は、安全な血液製剤の必要性を啓発し、献血にご協力いただいている方々への感謝を表す日とされています。

若狭公民館がサポートしているネパール献血者協会は、5年前から献血啓発運動を展開しています。1周年記念のイベント開催を機に、毎年6月14日には、命をつなぐ献血をテーマに報告会や献血啓発イベントを開催しています。

今年のイベントの詳細は近日中に公開予定ですので、しばらくお待ちください。

昨年のイベントの様子

沖縄県には、多くの外国人が暮らしています。米軍関係者を除くと、ネパール人が最も多く、2024年6月時点で4,873人が在留しています。これは、沖縄県の在留外国人全体(26,980人)の約18%にあたります。若狭公民館がある地域は、外国人留学生をはじめ、多くの外国人が暮らしているエリアで、特にネパール人のコミュニティが大きな割合を占めています。

2017年からは、ネパール人コミュニティと共に、ネパール・ビクラム歴の新年を祝うお祭り「ネパール・ニューイヤー  パーティー」を開催しています。
今年開催したイベントの様子はこちら♪

このイベントでは、ネパールの歌や踊り、沖縄のエイサーや旗頭などが披露され、さまざまな文化交流をしています。開催にあたり、外国人支援機関やネパール人グループ他、さまざまな団体と連携しています。さまざまな方々と連携して開催していると、「私たちも一緒にできないだろうか?」という声が多く寄せられるようになりました。

昨年から始まった法律・健康相談ブース

ニューイヤー パーティーでは、昨年から「法律・健康相談ブース」が設置され、気軽に相談ができる場が提供されています。
今年は、当山法律事務所の弁護士の先生が法律相談を担当し、沖縄県中部病院の高山先生をはじめ、助産師や研修医の先生方が健康相談に応じてくれました。

体調に不安を抱えている方々には、血圧や血糖、検尿など基本的な健康チェックも行い、その結果に応じて、近隣の診療所への紹介状が3通発行されたとの報告もありました。
2時間の相談時間内に、25名の方々が参加されました。

この相談ブースの魅力は、生活面で不安を抱える方々に対して、法律相談ブースと連携して法的なアドバイスを提供できる点です。このように、医療だけでなく、生活全般に関する相談にも対応できる体制を整えることが重要だと、対応してくださった高山医師からもお話がありました。

外国人住民の健康と生活に関する課題

健康に不安を感じていても、「帰国すれば治るだろう」と思い込んでいたり、体調を崩してもどの医療機関を受診すべきか分からず困っている外国人が多いと聞きます。ネパールでは「何でも診てもらえる」という認識があり、日本の医療システムが細かく分かれていることに戸惑う方も少なくないそうです。今回も、「どこに行っても『当院では対応できません』と言われた」というような相談が多く寄せられました。

病院に行きづらい、誰に相談したらよいかわからない、そんな思いをもつ、外国人にとって、イベントに遊びにきたついでに相談できるのは、とても良い機会だと感じます。

多文化カフェは、週に1度開催している外国人の居場所ですが、グループLINEで日々交流しています。外国人の支援を行っている方々や、法律や健康相談先との関連機関も入っているので、いつでも気軽に相談ができる体制整っています。こうした質問もたびたび受けます。

言語の壁や支援が十分でない状況では、ささいな問題が複雑になったり、困りごとになることもあるので、気軽に相談できる環境づくりに取り組んでいます。

医療制度への理解と情報提供の重要性

大きな病院で紹介状なしで受診すると、紹介料として追加で5,000円程度請求される場合があります。このことについて、私たちは知っていても、請求された外国の方は「外国人だから追加料金が請求されたのではないか」と誤解されることもあるようです。

昨年参加した移民女性の妊娠・出産セミナーでも、情報がないために、国に帰ってから中絶する、病院の受診ができないといった話が報告されていました。

国も文化も違えば、常識が違うのは当たり前ですが、このような誤解を防ぐためにも、外国人住民向けに日本の医療制度や受診方法、費用の仕組みについても、来たばかりの外国人と接する機会のある方には伝えてほしいと思いました。

多文化共生の社会づくりに向けて

多文化共生社会とは、異なる文化や背景を持つ人々が平等に尊重され、協力し合いながら共に暮らす社会のことをさします。
若狭公民館でも、多文化共生社会の実現に向けた取り組みとして、これらの活動を行っています。

地域住民の健康を支えることは、出身地などにかかわらず、生きていくのに必要な大切な要素です。

外国人住民に対する医療支援の充実や、献血活動、妊娠・出産に関する理解を深めることなどは、すべて地域の多文化共生の一環として重要です。

ネパール献血者協会は、外国人が献血しやすくなるようにサポートしています。そのために、献血に関する誤った情報を正し、献血の大切さを伝える活動です。

私たちは、これからも外国人住民が安心して暮らせる環境づくりを進め、より多くの人々が互いに理解し合い、支え合う地域社会を目指して活動していきます。

6月に、国際交流基金が行うオンライン公開シンポジウムにて、多文化共生において若狭公民館が行っている取り組みについて話してきます。オンラインで無料で行いますので、ぜひ、ご参加ください。(sato)

これからの多文化共生社会における「いのち」の支え方
6/29(日)14:00~16:00 ZOOMウェビナー配信
配信無料・事前申込制