2021年3月29日月曜日

なは防災キャンプ'21春研修会

 3月21日(日)なは市民活動支援センターにて「なは防災キャンプ'21春 研修会 | 事例をもとに考える災害時の連携の必要性とあり方」を開催しました。

今年度は、これまで2回の「なは防災キャンプ講演会」を開催してきました。今回は、その流れで行う研修会です。


第1回目「なは防災キャンプ'20 講演会 | 地域と防災:地域・行政・専門機関との連携に向けて」はこちら



第2回目「なは防災キャンプ'20冬 講演会 | もし、大型災害が起こったら地域はどうなる?避難所は?」はこちら



今回の「なは防災キャンプ'21春 研修会」は、災害時に支援者としての役割を担う行政関係者や地域団体の代表者等を対象に行いました。

講師は前回に引き続き「NPO法人にいがた災害ボランティアネットワーク」の李仁鉄氏、「一般社団法人災害プラットフォームおきなわ」の稲垣暁氏をお招きし、災害時の那覇市における災害支援の連携体制づくりについて考えました。



研修会の前半1部は李氏による講話です。
災害時、現地にたくさんのボランティアが駆けつける中「ボランティアスタッフをうまく活用できたところ・できなかったところがある」ということをお話いただきました。
要因のとして、困りごとを拾うことができなかった。またボランティアと困りごとを結ぶことができなかったそうです。
新潟や熊本、福島で起こった実際の事例や、実際に起こった困りごと、行政に負担が偏りすぎたことによって、行政職員が逼迫した状況になった事などをお話していただきました。
また、震災直後なのか、すでに復興の状態にあるのかによって被災者の要望も変わってくるし、支援者のやり方も変わってくるとのお話がありました。支援をする際には実際にどのステージにあるのかを考えて行動しなければ、被災者と支援者のマッチングがうまくいかない現実があります。



災害時マニュアルはどこの地域でも設置していると思いますが、事前から変更してはいけないマニュアル、大枠が決まってて状況に応じて変更して良いマニュアルなどいろんな種類があるということを学びました。
マニュアル作りにもコツがあり、「なんの情報を収集するのか?」「誰から情報を聞くのか?」「どこから情報を手に入れるのか?」「どのタイミングで情報を収集するのか?」「それらの情報をふまえて誰がなんの支援をするかを判断するか?」を決めていくなかで、絶対に変更してはいけない事、状況に応じて変更しても良い事を皆さんで考えていきましょうとお話がありました。


災害時に連携が必要というのは皆が感じていることだと思いますが、実際に災害が起こった時「自分たちに何ができるのか、どこと連携することが効果的な支援ができるのか」「地域・行政・民間企業の方々に災害時の役割とは何か」を気づいてもらう講話となりました。


また沖縄は他の県と接していない島国なので、どうしても災害直後の支援が難しいことがあげられ、初動では地域との連携が不可欠となってきます。
連携体制が青の四角枠【下記写真参照】の最小限の連携で支援をしてしまう場合が多いことで、支援者への負担が大きくなるなどがあげられ、普段からどこと連携し、どのような役割が果たせるかを話し合うことが必要だとおっしゃっておりました。





前半第2部では、各テーブルに行政・市民の方など属性がバランスよく交わるように座り、それぞれの役割や課題を掘り起こし、気づきを話合いました。


それぞれの立場から支援ができること、連携ができることを話し合い、課題点や気づきを得るワークショップです。






こちらのグループでは、地域で防災マップをわかりやすく作成し冊子にして配布したことを紹介してくれました。


講師の李氏も各テーブルを周りながらアドバイスをしています。


こちらのグループではホワイトボードを活用して自分たちが今どの位置にいて災害時にどのような連携が取れそうかを確認していました。


参加者からは災害弱者と呼ばれる障がい者や高齢者にどのように災害情報を届けていくか、地域の個人情報などを災害時に「どこまで、だれまで、どうやって」情報を開示するかを事前に話し合いルール作りが必要だという意見がありました。


後半では、「一般社団法人災害プラットフォームおきなわ」の稲垣氏からは””避難所の運営に地域がどう関わるか””、””避難所にこれない人を誰がどう支えるか””が話し合われました。 
行政職員だけが避難所運営をしていると情報を収集、整理して発信していくだけでいっぱいいっぱいになってしまう。
台風などの災害時はいつも公民館などにいて地域と連携しているはずの職員が自宅に待機になり、普段は地域の方と関わりがない行政職員が公民館へ滞在するというマニュアルに関しての矛盾があるとおっしゃっていました。(若狭公民館では、できる限り公民館職員も立ち会うようにしています)

行政職員も初めての施設で引継ぎもうまくできないまま滞在し、地域の方も日頃関わりがない職員とのやり取りでうまくいかない。誰も幸せにならないマニュアルになっているとの言及が李氏からありました。


コロナ禍で避難所のあり方も変わってきており、床で寝る事は感染リスクが高まるという事がわかりダンボールベットなどが推奨され、どうやって被災場所を確保するか等、収容人数が制限されている中さまざまな課題が見えてきました。

1)避難所の数が足りない→他の避難所への誘導や満了の周知は誰が動くのか
2)避難所に来れない高齢者や障がい者→さまざまな支援・救援が必要だが誰が動くのか
3)避難所運営職員が開設に間に合わない場合→開設・衛生管理・避難室の区画整理・誘導など誰が動くのか

などがあげられ、行政だけでは具体的な問題を解決できないので日頃から話し合い、考えていかなければいけないと曙小学校区の避難運営調査を踏まえながらお話しがありました。


避難所を開設するにあたって、ペット同伴をしながら避難をする難しさについて「人も犬も猫も幸せ!な街つくり隊Okinawa」の畑瀬氏よりお話がありました。


その後、お二人のトークセッションがあり、災害時の連携について行政だけではなく、民間企業や市民同士でも話し合う機会がないということがあげられ、地域連携の重要性と継続的な学びの場を設けることが必要だということがあげられました。

参加者からも、「地域連携の体制づくりへの第一歩となりました」「避難所運営や災害ボランティアセンター設置の現実的な問題と向き合うことができた」などの声がありました。

今後も防災ネットワーク構築への講座を行っていく予定です。

報告動画はこちら






「なは防災キャンプ'21春 研修会」
主催:那覇市若狭公民館・NPO法人地域サポートわかさ
共催:那覇市(防災危機管理課)/ Happyぼうさいプロジェクト
   一般社団法人災害プラットフォームおきなわ
協力:那覇市社会福祉協議会/ NPO法人たいようのえくぼ
   人も犬も猫も幸せ!な街つくり隊Okinawa
助成:沖縄しまたて協会/特立行政法人福祉医療機構(WAM)