2022年4月26日火曜日

なは防災キャンプ' 22 春(新都心公園)(2022.4.22〜23)〔レポートその一〕

 4月22日〜23日の日程で「なは防災キャンプ' 22 春 (新都心公園)」を開催しました!会場は那覇市の広域避難場所の一つ、那覇新都心公園。



まずは、「防災キャンプ」ってなに?という人もいると思います。

防災キャンプとは「防災訓練×キャンプ」をかけあわせて、宿泊しながら擬似避難体験をしようという企画です。
防災キャンプには3つのルールを設けています。
①自己完結
②シーズン毎にやる
③できれば宿泊する
日帰りの訓練だと、終わったら帰宅してお風呂に入り、ご飯を食べますよね。では宿泊となるとどうでしょう?
防災キャンプでは、公園など避難所になるような場所で過ごすためにはいったい何が必要なのか、自分で考え、そして季節に合わせてどのように過ごすかをそれぞれ考えてほしいという狙いがあります。
そして宿泊体験を通して様々なことに気づき、今後に生かしていくことを1つの目的としています。  



公園内にはどのような機能があるのか、公園が災害時にどのような役割を果たすことができるのか、ほとんどの方は知らないのではないでしょうか。

那覇新都心公園は大規模な延焼火災などが発生した場合に避難することができる「広域避難場所」となっておりますが、津波・洪水・土砂災害などの災害の危険が切迫している状況において、時間的に猶予がない緊急避難場所としての「指定緊急避難場所」にも指定されています。

公園には電線もなければ、大きな建物もないため、延焼火災などの影響もなく、備蓄や貯水もあるため、災害時における一時避難所としての役割ももっています。


このレポートでは防災さんぽ防災ブースに関しての紹介をしていきます。

防災さんぽ

那覇新都心公園の非常時の機能について、防災士・災害ソーシャルワーカーである稲垣 暁 氏のガイドのもと参加者と共に公園内をさんぽしながら学びます。

今回は那覇市防災危機管理課の案内で那覇市内最大の備蓄庫の見学と那覇市上下水道局下水道課の協力でマンホールトイレの場所の確認や実際の組み立てなどを見学することができました。


まず最初は公園の県立博物館・美術館側のマンホールトイレの整備場所へ。

那覇市上下水道局 下水道課より提供

こちらのマンホールがトイレに変身するって知っていましたか?

マンホールを見ただけでは、他のマンホールと全然区別がつかないマンホールトイレの蓋。

こちらは特殊な鍵がないと開けることもできないために、災害時に上下水道局の職員が来ないと開閉ができないようになっています。

防犯上のために誰でも開錠できないようになっているとはいえ、災害時に那覇市上下水道局が被災して、建物が崩壊したことを想定してバックアップの鍵を公共施設に保管したり、トイレ設置の訓練が必要だろうという説明が稲垣さんよりありました。

参加者からも「近くに住んでいるがこれがマンホールトイレということは知らなかった」という声もあり、災害時にマンホールトイレが機能するように地域と行政が連携していく必要性があることも話あわれました。



マンホールトイレは公園内駐車場の方にも整備されており、那覇市上下水道局下水道課の協力で実際にマンホールトイレを設置していただきました。


和式トイレになっており、高齢者や障がい者には使用が難しそうでした

設置の様子を動画でも紹介しています(こちら



実際に参加者が入ってみました

使用中の表示がでるようになっています

実際に入った人からは「暗いので、夜に使用する時など足元などの不安がある」「換気口のようなものがないから息苦しさがある」と言っていました。

こちらは洋式のトイレですが、カバーが大人4人がかりの設置になりました



大掛かりの設置ですが、洋式のトイレは座りやすいですね

設置の様子を動画でも紹介しています(こちら


参加者からは、「トイレットペーパーがないけど、トイレットペーパーは持参なのか?」や「男女の区別などがないが、夜などトイレに行くのが心配」声が聞こえており、設置後の課題点も見えてきました。

那覇市上下水局 下水道課の皆様・そして担当職員の比嘉さま、ご協力ありがとうございます!


次に向かったのは
那覇市内最大の備蓄庫です。



那覇市防災危機管理課の源河さんが案内してくれました。

普段はシャッターが閉まっており、このシャッターの先に地下備蓄庫があるとは驚きです。
近くをよく通る方は、「あーこの建物の地下にあるんだ!」と地域の方でも知らない方は多いようでした。


10年間保存できる水や非常食、おむつなどの日常用品などが保管されています。
こちらの食糧備蓄を各避難所拠点に配送したり、支援などをいただいたら一時保管場所としても使用されるとのことです。

次に向かったのは
耐震性貯水槽です。
災害時に使える雑用水(飲み物やトイレ)を貯めています。
公園内に2か所、設置されています。




防災ブース
防災さんぽはそのまま防災ブースへと移動していきます。

受付ブースです。
こちらは那覇市社会福祉協議会の皆様にご協力いただき、受付を行なっていただきました。災害時、社協さんは避難所運営等を担うため、その訓練もかねての擬似避難所受付です。




受付では、毎度の防災キャンプで実施している「もしもカード」を記入してもらう他、避難所でのニーズ(避難者に足りない物や知識・手助け・etc...)と「私こんなことができます」(避難者ができること、例えば英語ができます、とか、医者です、とか、お手伝いができます、etc...)について、受付にて申告をお願いし、その内容を掲示・マッチングするという試みを行なっていました。



移動式図書館ブースです。
なは市民協議会・地域包括支援センター泊の知念さんが案内してくれました。地域の高齢者の声から移動図書館を整備したそうです。
災害時に避難所が開設されてると、子どもたちの居場所や高齢者の憩いの場などがなくなります。
その時に移動図書館などが避難所にあると心の拠り所になるだろうという可能性を探るために参加してくれました。


パーラー公民館・リッカ!ヤールーキャラバン!ブースです。
曙小学校区まちづくり協議会が設置してくれたブースです。移動式屋台型公民館「パーラー公民館」は、生活圏内に公民館がない地区に、パラソルと黒板テーブルを持っていって、居場所をつくるという取り組みです。2017年より3年間にわたって若狭公民館からスタッフを派遣して開館していました。
災害時に人が集まる憩いの広場を作り上げることにも使えるのではないかと今回参加してくれました。

曙まち協の玉寄さん

もう一つ曙まち協が展示してくれたブースで5月22日(日)に開催予定『子どもを中心とするファミリー層を対象にした、防災訓練プログラム「リッカ!ヤールーキャラバン!in曙小学校」』で行うプログラムの一つを披露してくれました。
5月22日の告知ブログはこちらから(ブログへ飛ぶ



次はペット防災ブースです。


こちらは【一般社団法人 人も犬も猫も幸せなまち創り隊 Okinawa】が設営してくれたペット防災のブースで災害時にペット同伴で避難する際に役立つ備品などを展示してくれました。


次はまいまい号です。


こちらは「一般社団法人災害プラットフォームおきなわ」の共同代表理事の有村さん(通称あ〜り〜さん)の「まいまい号」です。防災キャンプではお馴染みの車となりましたが、道ゆく人たちは「これはなんだ?」と声をかけてくれて、そこから防災キャンプについて知ってもらう広告塔の役割を果たしてくれました。
上に乗っている廃材で作った手作りの家は、自立して置けるようになっており、被災地ではトラックで資材の運搬などができるようになっています。

次は車中泊のあり方を考えるです。


こちらはあ〜り〜さんと共に「一般社団法人災害プラットフォームおきなわ」共同代表理事をされている稲垣さんの車。車中泊ができるようにアレンジしています。
今回はソーラーパネルも設置してもらい、太陽光で携帯やパソコンの充電をされていました。
実際に夜はパソコンでの作業などもされており、持続的な生活基盤の一つのあり方を展示してくれました。

最後にシェアライフランスペースです。


避難時に大切な水と熱源をシェアすることを目的に感染症対策をしながらどう運営していくかを検討しようと今回初の試みとなりました。


約60名と4匹の参加者と関わってくれた多くの那覇市職員とボランティアで無事に終了することができました。ありがとうございます。

これにて、防災さんぽと展示ブースの紹介を終わります。
次のレポートでは食品衛生管理のあり方と夜の振り返り、蓄電池を使用しての上映会を書いています。

レポート一はこちら
レポート二はこちら
レポート三はこちら

報告動画はこちら




主催・共催:(一社)災害プラットフォームおきなわ / 那覇市若狭公⺠館

協力団体:一般社団法人 人も犬も猫も幸せなまち創り隊 Okinawa /

     包括支援センター / キャンプ沖縄事業協同組合/

     社会福祉協議会 / 校区まちづくり協議会(曙・銘苅・石嶺)

     那覇市防災危機管理課 / 那覇市上下水道局

助成:一般社団法人 沖縄しまたて協会