以前、鄭大夫(ていたいふ)のお話を少ししました。中国から移民してきた久米三十六姓と呼ばれる人の末裔で、武術の達人であり、大変慕われていた人だったそうです。
その鄭大夫のエピソードの中で、有名なものが「牛マジムン」と戦った武勇伝です。鄭大夫は赤い目をした巨大な牛のマジムンと夜通し相対しながらまんじりともせず、ついに夜が開けると、牛マジムンはガンと呼ばれる沖縄の棺桶に変化していたという伝承です。
その、牛マジムン(要するに、牛の妖怪ですね)を夜通し組み敷いたと言われている岩が、この鄭大夫岩と呼ばれるものです。
現在はウタキ(拝所)になり、龍神様が祀られています。なんだか少し可愛い龍神様ですよね。
この場所は旧料亭・松乃下の裏にあり、過去の文献などでは唐真森(とぅーまむい)などと呼ばれている場所です。一説によると寄留民たちによる唐の国への遥拝所だったとも言われています。昔はうっそうとした森だったのでしょうが、現在では面影を少しとどめるだけになっています。
場所は辻と呼ばれる歓楽街の中にあるので、探しながら妙な場所に行かないようにご注意下さい(笑)
なおこの唐真森には、他にもジュリ(遊女)たちの開祖と呼ばれているウミナイビのウタキもあるのですが、それはまた別の機会に。(小)